2.間違った学習、条件付け

第2章 間違った学習、条件付け

精神医学の世界では認知行動療法という治療法がある。全ては過去の間違った学習の結果で、今の状態がある。この間違った学習を認知させ、正しい学習をさせることを行動認知療法と言う。

2-1 なぜLCに苦痛を感じるのか

・あなたがロスカットを連発すると苦痛を感じるのは何故だろうか? お金が減るから とほとんどの者は答えるが・・・ロスカットで10万円減るも、家賃で10万円減るも お金が無くなるという意味では一緒。 支払った対価に対して価値のないものを受け取った時に人は苦痛を感じる。

典型的なトレーダー(エサ)はLCを無価値なものとして解釈している。

「ロスカット=はずれた=ミス=間違い」 と解釈している。

では 間違い(ミス)を犯すと人は何故苦痛を感じるのか?

間違いを犯すと苦痛を感じる。当たり前すぎて、理由を考えた事すらないだろうが、ここにトレーダーで成功するための重要なヒントが隠されている。

人間の脳には、精神的苦痛を感じる過去の「辛い体験・嫌な思い出・その時感じた精神的苦痛」を瞬間的に呼び起こす機能が備わっている。

これは、潜在意識・長期記憶を司る、扁桃核にその機能があり、

自覚がなくても、全ての体験・記憶が無意識のレベルで蓄積されているのである。

2-2  間違い=悪いことの条件付け

・間違い=悪いこと と連想する思考回路を当たり前のこととして作り上げてしまう。そして、間違いを犯すたびに、この時に感じた不快な感情も一緒に思い出してしまうのである。繰り返した体験は「反復した学習」であり、この学習結果がロスカットを間違いと解釈し、精神的苦痛を呼び起こすのである。

・強い思い込み=信念

信念とは、確固たる考え、強い意志、潜在意識にまで浸みこみ、習慣化され、真実だと思い込んでいること。これをセミナーでは念と表現する。信念という表現がいまいち理解できなければ、「信念=仮説=シナリオ」 と置き換えてみる。

・最もだましやすいのは自分自身だ。人は自分が信じたことを信じる傾向がある。(デモステネス 古代ギリシャの政治家)

・間違った学習と条件付けが原因でロスカットで苦痛を感じ、エントリーしなくてはならないときに恐怖で躊躇する。この 間違った学習・条件付けがある限り、トレードは苦痛と恐怖に満ちたゲームになってしまう。典型的なトレーダー(エサ)は、苦痛や恐怖を抑えるメンタルコントロールが必要だと考えている。

2-3  メンタルコントロールの真実

・多くの人は感情を抑え込むことが感情のコントロールだと思っている。ロスカットを歯を食いしばってやっている!と思っている人が多い。エントリー恐怖症に陥った時に精神力でカバーしている! と思っている。

・感情のコントロールには2種類ある。

× 1.感情が生まれてから抑え込んだり、何らかの手段で解消したりする方法。

〇 2.最初から感情が生まれないようにしてしまう方法

・感情を抑え込むことが、何でダメなのか?信念によって解釈したことと、マーケットが矛盾した結果を生むと不快な感情が生まれ、脳の苦痛回避のメカニズムが動き出す。そうすると脳の神経作用によって、脳の認知機能は通常の30%程度に低下する。

・こんなことをしてしまうことは何故だろう。激しい怒りを感じ意地になりナンピンしまくる。 一時的な逆行だろうと全力でお祈り。都合の良い情報だけを探し安心する。サインが出たけど恐怖から入れない。含み益がロスカットになる恐怖からチキン利食いで置いていかれる恐怖から高値つかみする。連敗が続くと次こそは!次勝てばトントンだ!とどんどんポジジョンを大きくしてしまう。

・これら自滅的な行動を引き起こす状態を自己正当化・情報の遮断・歪曲化・視野の狭小化」 と呼ぶ。実は、これらは人間の持つ防衛本能が感情のコントロールができないようにしてしまっている。

・一般的にトレードやLCやミスをすると「ストレス」が生まれる。人間は「ストレス」が発生すると脳から2種類の「ホルモン」を分泌する。ストレスが発生すると分泌される2種類のホルモン 「アドレナリン・コルチゾール」アドレナリンは別名 「闘争と逃走のホルモン」と呼ばれる。冷静にトレード戦略を考えなくてはならないときには、大きな障害にしかならない。この2つの部室が発生すると同時に脳の苦痛回避のメカニズムが動き出すためである。これでは冷静なトレードが不可能になる。

騰がるという信念のもと買い! →  トレードでミス!! ストレス発生!  →

→ アドレナリン分泌!!  → 身体の能力アップ!と同時に苦痛回避のメカニズムが動き出す

→ 視野の狭小化・自己正当化・情報の歪曲化・遮断などの脳の認知能力の低下が発生する。

冷静になった状態で「次はルールを守る・LCをちゃんとする・トータルで勝てればよい」と言い聞かせてもうまくいかない原因はここにある。

・ミスをしてもストレスを感じない対策

無駄であると理解する。

人類が生き残るために必要だった防衛本能は強力なものであり、それを司る脳の神経作用に逆らおうとるだけ無駄であると理解する。

・ホルモンの欲求を満たしてやる。

パソコンの電源を切る!せっかく闘争と逃走のホルモンがでているのだから体を動かす。

・最初からストレスと認知しなくなれば良い。

つまり、LC=間違い・苦痛を感じない思考回路になれば良い。

脳の神経作用に逆らい、感情をコントロールしようとしても無駄。

・どこで感情が生まれるのか、それがわかれば感情の元を断ち切ることができる。間違った学習と条件付けが起きたところを特定する。

2-4  正しい学習・条件付け

そもそもあなたは悪くない。 LC=間違い=悪いこと と考える必要はない。この連想の思考回路を断ち切る事。

次に何が起こるかわからないマーケットで間違えることは罪ではない。間違えを認めず間違い続けるのが罪である。不確実なマーケットにおいて、ロスカットは仕方のないことだと理解すること。

「リスクを受け入れる心を持つ」  LCは必要経費と割り切ろう!!

 LC=間違い、ミス=悪いこと、罪  と考えるのをやめよう!!

今までの間違った学習・条件付け  LC=間違い=悪いこと

今日からの正しい学習・条件付け  LC=もう一つのシナリオ=必要経費

あんたが買えたということは、だれかがそこで売ったということ。何事も起こりうる、どちらも想定の範囲内。

2.最初から感情が生まれない用意してしまう方法

もう一つの信念(仮説)を持つことである。勝っているトレーダーは犬の話にすると「凶暴な犬もいるし、友好な犬もいる」

両方の信念を持っている。負けているトレーダーは、どちらか一方の信念しか持っていない。

・もう一つの信念とは 何事も起こりうるという信念

・この章では間違いを犯すと人は何故苦痛を感じるのか?と言うことと、その対策方法を学んだ。間違った条件付けを正しい条件付けに変えることで苦痛を感じなに脳にすることができる。さらに新しい信念を持つ。何事もおこるという信念を持つこと。それと同時に、確率で考えるということ大切である。

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